ある日のこと、センターに持ち帰った鳥の古巣を図鑑で調べていると、ヤニサシガメの幼虫がのそのそ這い出してきました。室内は暖房が効いて暖かいので、春と勘違いしたみたいです。以前見つけたウグイスの巣の中にはカメムシが居ました。どうも手当たり次第に古巣を持ち帰って来るのは、越冬昆虫にとっては迷惑なだけのようです。

さて、本題です。ヤニサシガメはその名の通り、体の表面が松ヤニのようにべたべたしているカメムシの仲間です。「 松ヤニ 」 と 「 カメムシ 」 、このダブルパンチで大半の人は顔をしかめることでしょう。
ところが、ヤニサシガメについて調べていくと面白い実験が為されていたことが分かりました。なんと彼らは自ら松ヤニを体に塗り付け、獲物を捕獲する際の滑り止めとして利用しているというのです。
実験は@松ヤニを塗らせた個体とA塗らせなかった個体の2種類のヤニサシガメを別々の容器に入れ、狩りの成功率を比較するというものでした。
結果は、@松ヤニを塗ったヤニサシガメの方が狩りの成功率が高かったということです。
摘んでいた指を離しても片方の指に体がくっ付いていて、脚だけを空中でばたばたやっている・・・その外見や鈍くさい動きとは裏腹に、意外や意外、ヤニサシガメは自然にあるものを最大限に活用する頭脳派ハンターなのでした。
しかし、緩慢な動作は単に関節に松ヤニが詰まっているだけで、足取りが重いのはべたつく足の裏を引き剥がすのがシンドイだけなのでは・・・という疑いは、まだ晴れてはいません。
【 山田 】
posted by 三重県環境学習情報センター at 09:53|
Comment(0)
|
日記